『ラ・ラ・ランド』は現代のミュージカル映画で、エマ・ストーンとライアン・ゴズリングが織りなす夢とロマンスの物語です。
映画は夢を追いかける若者たちの出会いから始まり、ハリウッドの舞台裏と共に彼らの恋と夢の成就を描き、往年の名作ミュージカル映画を彷彿させるゴージャスさとロマンチックな雰囲気が漂います。
オープニング
『Another day of Sun』
オープニングの交通渋滞の車の上で踊るダンスは、ハリウッドへ夢を求める人達の情熱とパワーそのもの。見ているだけで踊り出したくなります。
車の上や塀の上に乗ったりしますが、基本的にはなるべく手を使わないで乗ります。もちろん、演技で補佐して乗っている人もいましたが、手を使ってはいけないというより、ワン動作かツー動作でスムーズに乗るということです。
実際やってみると分かりますが、何も考えずに上がろうとするとダサい姿になってしまいます(過去に私は高さのある台に乗れずダメだしをくらいました。外国の方のように足も長くありませんし)
踊りより踊りの前後をみると勉強になることが見つかるかなと思います。
道路が斜め?!
この映画の道路は実はかなり斜めなんだそうです。それをカメラの向きを変えて水平に見せてるそうです(岡田斗司夫さんの解説動画より)
バレエの舞台も斜めになっている劇場があると聞いたことありますが、斜めの車の上で踊っているのかと思うと凄いですよね。
このシーンが好きな人にはアメリカ映画『ステップアップ4』のダンスシーンにも車の上に乗って踊るのでおすすめです。こちらは豪快に車が持ち上がります。
稽古場は水平な床ですが、映画ミュージカルの足場は色々あります。
どんなところでも簡単そうに見せれることが必要ですので、プロになりたい方はダンサーの足元や小道具などの扱い方など見て自分にも出来るか、どうやって処理しているのかを見て盗み自分のものにしておくといいと思います。
こういうのは一から十まで誰かが教えてくれるとは限りません。特に現場では細かい所でスムーズにいかず、自分の踊りが出来なかったりしては仕事がなくなってしまいますから、プロになる前に自分で勉強しておくといいかなと思います。
男女の踊り
『A lovely night』
相手を意識して踊る
男女の踊りはバレエで言えばアダージオで作品の中心で華でもあります。
『A lovely night』はシンプルな振付でわかりやすく思わず真似して踊ってみたくなります。
私は靴を履き変えるところが好きで、靴擦れが耐えられず履き変えてしまうような演出に、男性が女性と同じ脚の仕草をする。ここで、この2人がこの先結ばれるんだなって予感させます。
その後、ベンチを行ったり来たりすれ違いあいますが、男性がベンチの上に立ち上がるのをきっかけに2人は歩きだします。
男性の背中を追いかけて、隣りから様子を伺って並ぶように歩き、ついにお互いに隣りの存在を確認しだすと踊りだします。出だしの振付がケンカップルみたいで可愛いですよね。
女性を追いかけるような男性の振付に、男性の一途さが伝わってきます。歩くだけでも相手に合わせる歩幅やステップ、視線はどこを見ているのか、ミュージカル映画や舞台など作品の中で踊られるダンスは演技をしながら、その役柄そのもので踊られるのでステップのテクニックだけではなく、その場面や役柄に合わせてステップを踊るということがとても勉強になります。
また、このシーンが好きな人にはフレッド・アステアとシド・チャリシーが踊る『バンドワゴン』の「Dancing in the Dark」もおすすめです。こちらはたっぷりとダンスシーンがあるのでダンス好きにはたまりません。(詳しくは長くなるのでまた別の記事にて)
『ラ・ラ・ランド』のダンスシーンが好きな方には、古いフランスのミュージカル映画になりますが『ロシュフォールの恋人たち』もおすすめです。
「キャラバン隊の到着」は音楽を聞けば一度は耳にしたことのある曲かと思いますし、衣裳も楽しめるかと思います。
ミュージカル映画を観るとき、ダンスや演技のテクニックがどういった手法で表現されているかに注目すると、映画全体の楽しさや深みがもっと感じやすくなります。ダンス以外の要素も含め、どんなテクニックが使われているのかに気を配ることで、作品の面白さや奥行きがより魅力的に見えて自分の感性を育てることにも繋がります。
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